波のささやき

波のささやき

『波のささやき』
作 鐘崎那由他
夜に波の音で目が覚める
静けさの中で確かに響く音は美しい
波は月の引力が引き起こすという
月は見上げるだけかと思っていた
あれほど遠くからでも影響を与える
さらには波音を彩る光を届ける
波はガラスのようにきらきらと輝く
街灯もない暗闇の中で唯一の光として
昔の人は月を想う歌をよく書いた
それは夜に月しかなかったからだろう
君は月をちゃんと見たことがあるか
昨日の月と今日の月は色や大きさが違う
昨日の君は今日の君と同じか
僕は明日の君がもっと好きになる

 

お話一覧に戻る