『青の魔力』 作 鐘崎那由他
『旅に出ます。捜さないで下さい。同じ青空の下、会えることを楽しみにしています。』
教室に着いたら短く担任からのメッセージが書かれていた。
その先生は二度と僕たちの前には現れなかった
今となってはあの人はどういうつもりでこの文を記して教室を後にしたのか、誰にも分からない。
数年経ち、同窓会の便りが来た。俺たちのクラスは学校の許可を得て同じ教室を使わせてもらえることになった。
そこには、『旅はうまくいっていますか?碧い海で待っていますね。』と見覚えのある文字で書かれていた。
最初は驚いたが自分たちのことで盛り上がり、覚えて帰ったのは僕とあきらだけだった。
あきらはスマホで撮っていたようで、これ気にならないかと数日後にメッセを送ってきた。
青い空と碧い海のことを僕はずっと考えていた
日本だったら沖縄みたいなもんかな。
海外だったら、、、と考えていた頃、幹事をしていた涼介から1枚の便箋を渡された。中には1枚の絵葉書が入っていた。絵葉書はナポリだった。『幹事の人へもし私のことを気になっている人がいたらこのハガキを渡してください。幹事さん面倒なことをしてごめんなさいね。』と書かれていた。
ナポリの絵葉書にはそれ以上のヒントがなく、僕は大学4年の最後の春休みに1週間イタリアに行くことにした。
飛行機の中で何度も見返した絵葉書を見てみた。今まではそんなに感じなかったのに少し分厚い事に気がついた。
機内ではめくれなかったからナポリのホテルでナイフを使って慎重に絵葉書に刃をいれた中にはイタリアリラのお札と古い紙に数字とぐちゃっと文字が書かれていた。もう1つの絵葉書はアマルフィの絵葉書だった。
古い紙に書いてある数字はおそらく番地なのだろうか。現状では調べられないので地図を買ってアマルフィ行きのバスを手配した。
やっとのことでアマルフィに行くとしてこの紙に書いてあるのが何か調べないといけない。
この紙を眺めていると透かしで文字のようなものが見えてきた。「porta」と見えてきたどうやら港にいけということらしい。
アマルフィに着いて翌日、港で男の人に紙を渡した。「日本人か?」とだけ確認されとある家に案内された。
そこにはあの人が居た。
開口一番「やっぱり来たのは君だったか。君がここにいることが君の迷いの結果だ。人生に迷いは突然現れる。その時にどうしたいかをここに来た貴方はもう見つけられたはずだ。」
「ところで、旅は楽しかったかい?私を探しに来たってことは貴方も青が好きなんだね。」