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『星の砂』
『コトノハ』
『影追い』
『月夜の華』
『朱色に咲く』
『漣(さざなみ)』
『月の輪』
『夢の便り』作 鐘崎那由他
それはひらひらと舞っている桜のようで、
それはふわふわと舞っている雪のように、
触ると儚くも消えてしまう。
それはぽかぽかと暖かい朝の陽(ひ)のようで、
それはきらきらと輝(かがや)く陽(ひ)の光のように、
手を伸ばしても届かない。
それは深々と降り積もる雪のようで、
それは鬱蒼と生い茂る草木(くさき)のように、道を閉ざし覆い被さる。
夢の便りは儚くも暖かく厳しい。
だから人は叫ぶのだ。私はここに居ると。
そうしなければ、数多(あまた)の屍と共に埋もれてしまうのだから。