『星の砂』

『星の砂』 作 鐘崎那由他

 

旅人は星の砂を探していた。
星の砂は願いを叶えてくれる砂だと言われていた。
旅人は商人に尋ねた。星の砂はどこかと。
商人は答えた。すぐそこにありますよと。
旅人は辺りを一昼夜探し続けた。
翌朝再び商人に尋ねた。見つからなかった。本当にあるのかと。
商人は見えるようになるには時間がかかるでしょうと答えた。
旅人は商人の言葉の意味がわからなかった。
旅人は辺りを再び探し回り一月の月日が経った頃商人が旅人に訊ねた。
貴方の探しているものは何か。本当に必要な物は何かと。
続けて星の砂よりも本当に大事な物を見つけなさいと。
旅人は深く考え周りを観察する事にした。
気がつくと、旅人は星の砂を探すのをやめていた。
旅人の眼はもう輝いていたのだ。
そう星の砂はもう手の中に有ったのだから。

 



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