~キミの心は僕のもの~怪盗ものとり~

~キミの心は僕のもの~怪盗ものとり~

〜キミの心は僕のもの〜怪盗ものとりー
作 鐘崎那由他
キミは月夜に窓から顔を出した
僕の仕事はキミの家に伝わる秘宝を盗むことだった
僕が館の屋根を走っているところを離れの個室から見られたらしい
とっさに裏手の方に身を隠しすぐに場所を移した。秘宝がある部屋の隠し扉に手を掛けた
中には洋燈(らんぷ)を片手に持ったキミがいた
キミは私をこの檻から連れ出してと言った
この秘宝はいつでも差し上げます
この私を連れ出してくれるのなら
僕は今までにいくつもの宝石を盗んできたがキミのような純粋な心だけは盗んだことがない
盗むつもりがなくとも、キミは僕の服を離さなかった
月夜がキミの泪を照らす
僕はキミと共に館を後にしていた。
お話一覧に戻る