『親知らず保険』作 鐘崎那由他
主人公【A】はこの春大学生になった新入生(18歳)で購買のおばちゃん【B】に話しかけられる。
この大学には不思議な仕組みがあったことを知らされる。
B「あら、見ない顔ね。新入生かしら?ちゃんと保険は入ってる?」
A「保険って何のですか?健康保険ですか?それともバイクの保険とかですか?」
B「まぁふつうは保険って言ったらふつうはそういうの思うわよねぇ。親知らずって知ってる?」
A「はっはい。知ってますけどそれがなんか関係あるんですか?」
B「親知らずってもう治療したことある?まぁ一年生だったらないわよねぇ。」
A「そうですねぇ。まだしたことはないですねぇ」
B「あら、そう、ちょうどよかったわ。」
A「そんな、いいことみたいな顔して何考えてるんですか?私のことほめても何も出てきませんよ?」
B「何にも親知らずのこと知らないあなたにいいお知らせがあるの。親知らず保険っていうのがあるのよ。」
A「親知らず保険?なんですか、それ?親知らずって歯の親知らずですよね。新潟の方の親知らずじゃなくて。」
B「そうよ?「歯」の親知らずよ。なんで急に難所の方が出てくるのよ。まぁいいわそっちだったとしたら今後自殺するときにはぜひ親知らずでってそんな話じゃないの。安心して、歯の保険よ。」
A「歯専用の保険ですか?え?なんで?は?歯だけなんですか?」
B「まぁふつうの反応よねぇ。もうちょっと面白い反応してくれるかと思ったのに。残念あ~ぁ」
A「あーぁってなんですか。どう見ても不満そうじゃないですか。」
B「まぁ新潟の親不知って言うワードは珍しい方だったから合格ってことにしといてあげるわよ」
A「まぁよくわかんないけど。それでいいですぅ(不満顔)。で、親知らず保険ってなんなんですか?」
B「え?だから親知らずの保険よ?」
A「だから〜説明になってないですって」
B「仕方ないわねぇ。1回しか言わないからよく聞いててよね。ズバリ!親知らずを治療するときに使える保険なのよ。」
A「そのまんまじゃないですかw それのどこが特殊なんですか?」
B「親知らずを親に教えたら保険が失効しちゃうの。変わってるところって言ったらそこぐらいかしらねぇ」
A「失効って効果なくなるんですか?え、なんで?」
B「そうよ。失効しちゃうの」
A「だからなんで失効するんですかって訊いてるんですよ」
B「条件のところに親が知らないことって書かれてるのよ。それだけの事よ?だから親が知ったら失効するの。」
A「え、?親が知ってたらダメなんですか。えっ?なんで?」
B「だって親知らずでしょ?」
A「ええ、親知らずですね」
B「だからよ。」
A「だからって、失効したら保険じゃないじゃないですか」
B「でも保険って色々条件あるじゃない?」
A「そうですね。それが親が知らないことってことですか?」
B「だから親知らずって言うのよ。絶対にダメだからね。親に知らせたら」
A「あ、ほんとにだめなんですね。分かりました。」
B「私の友達で喋っちゃった子がいてほんとに保険失効しちゃってダメだったみたいなの。」
A「え、そんな前からあったんですか?」
B「そうよ。だから安心して入っていいわよ。」
A「親に知られなければいいんですよね。」
B「そう。親知らずだから」
A「あ、お母さんこっち来てたの?」
B「(言っちゃダメよ〜ダメだよ〜)」
A「何の話してたかって?美味しいパンの話とか教えてくれてたの。ここの購買パン美味しいんだって〜」
fin