水飛沫(みずしぶき)

水飛沫(みずしぶき)

水飛沫、水面、ワレモノは同一世界観のお話になっています

『水飛沫(みずしぶき)』 作 鐘崎那由他

 

僕は君に出逢ったとき、雷に撃たれたようだった。僕にとって君は運命の人だった。
今まで灰色の世界だった僕の世界は虹色の世界に変わったんだ。
君は彼を追ってこの学校に来たよね。
後で知ったんだ。君には好きな人がいることを。
君の好きな人には時間が無かったことを。
君はいつも僕に優しくおはようって言ってくれたね。
君にとっては同じクラスの1人だったかもしれないけれど。
僕にはその一語一語が特別だったんだ。
肌寒くなった頃君が好きな彼が逝ってしまったね。
放課後君は人が滅多に来ない三階の音楽室の前で泣いていたね。
僕は君を上着で隠して隣に座ったね。そのまま君が落ち着くまで横に座っていたね。
僕は君に好きだと伝えて、付き合っていたけれど、君の心はいつも彼の方を追いかけていたね。

 

続きのお話はこちら『水面』
『水面』の続きはこちら『ワレモノ』
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